薬物依存まとめ
薬物依存なんていうテーマは、続けてると暗くなるので、
ここらで一気にまとめてしまおう。
しかし薬物は怖いなという以外にも、非常に興味深いと思えました。
20世紀の中盤くらいにドラッグ文化などと持て囃されてた時代もあったと聞きますが、どう考えても危険過ぎて、禁止薬物の使用などは避けるべきでしょう。
でもそれなのに興味深いと思えた点をいくつか。
>初めて使った人のなかには、思っていたようなすごい高揚感ではなく「こんなものか」という感想を持つ人も多いようです。「少し気持ちがスッとした」という程度で、これならすぐやめられると思うようです。だからこそ、また安易に手を出してしまうのです。
こんなにつまんない「効果」しか出なくても使い始めてしまい
そこから抜けられなくなるわけです。
こんなことから始めてしまって、一生治らないのは理不尽。
>覚せい剤を使用すると、なんでも自分の思いのままに操れるような高揚した気分になります。まるで超人になったような強烈なバイタリティーを感じ、食欲や睡眠欲がなくなります。
いわゆるよく「効いて」、こんな感じだそうですが。
眠れなくなる以外については、実はそんなに能力の向上はないそうです。
清原選手は軽度の覚醒系薬剤を使用して3試合連続本塁打をやったそうですが、
それは主として元からバッティングの才能があったからだと思えます。
つまり覚醒剤による単純な能力アップは望めそうになさそうですね。
無謀な判断や振る舞いは生じやすいそうですけど。
そういった状態はとっても危険ですよね。
>「治す」というよりは、依存症を糖尿病や高血圧症のような慢性疾患としてとらえて、薬物を使わない生活を続けるという自己コントロールの継続が目標となります。そのためには、それまでの薬物使用に関係していた状況(人間関係、場所、お金、感情、ストレスなど)を整理・清算し、薬物を使わない生活を持続させることが必要です
つまり一生モノの持病と闘病生活が強いられると同等なわけです。
いや~、そんな面倒なこと絶対にイヤだなと思いました。
ところで、以下の記述がかなり興味深い。
>薬物依存症にも認知行動療法の有効性が広く認められていますが、本人が「もう二度と覚せい剤を使いたくない! 使わない!」と強く決心していても、今まで薬物を使っていた場所や、その場のにおいや音など、思い出すきっかけが少しでもあると、また使いたくなってしまうという「条件反射」が出来上がっています。したがって、この条件反射による「渇望」と常に闘い続けることになります。
これです!
この記述については、薬物依存に限らず、
トラウマやPTSDなどの症状についても当てはまりそうだなと思いました。
(おっと、PTSDの定義にトラウマ要素を含むので重複か。まあいいや)
そして、その治療法や対処法がこれ。
(4ページ目)清原和博容疑者、覚せい剤で精神異常か…なんでも操れる高揚感や幻覚のおそれ | ビジネスジャーナル
>
条件反射を抑制するための訓練としては、「条件反射制御法」があります。
・第1ステージ:キーワードアクション
これから覚せい剤を使用しない時間が続くのだという負の条件反射を設定する
・第2ステージ:疑似摂取
疑似注射器を使って覚せい剤摂取のマネをしながら、体には快感がないという経験を積み上げていく
・第3ステージ:想像
自分が覚せい剤を使用していた典型的な一日を詳細に作文に書いて、それを読み、あえて自分自身を覚せい剤の渇望を引き起こす刺激にさらす
・第4ステージ:維持
これまでの条件反射制御法による治療を定着させ、維持していく
このように、少しずつステップアップしながら治療していくのですが、患者一人で持続することは困難なのが現状です。持続させるためには、これらを体系的に習得させてくれる医療施設や相談所に通い続けることも必要ですし、薬物依存症リハビリ施設のダルク(Drug Addiction Rehabilitation Center)や薬物依存からの快復を目指す者たちの集まりであるNA(Narcotics Anonymous)などの自助活動に参加し続けながら、薬物を使わない生活と新しい仲間をつくることが大切です。
嗜好薬物使用はしたことないし、またそれらのドラッグ中毒との
単純比較はできないでしょうが、「いやな思い」にとらわれて
寝込んでしまうとか、また極端には自殺を考えるという事もあるので、
こういった「対処法」については、参考にさせて貰おうと思いました。
そして更にもっと実際的な観点からの情報は、ここらですかね。
>
松本:ええ。薬物被害で一番恐ろしいのは、薬の使用によって、本人の価値観の序列が変化してしまうことです。例えば、これまで自分にとって大切だったのは、家族や恋人、友人、仕事、財産、健康、そして将来の夢だった。けれど、気付くと薬物が最上位に来て、薬を使える仕事、薬を許してくれるパートナー、薬を使うことを見逃してくれる友達などを選ぶようになる。
すると、昔の自分とずいぶん変わってしまって、だんだんと自分らしさがなくなってしまう。周りからすると、「性格が変わった」「別人になった」という話になるわけです。
確かにこれは怖い!
人格をすっかり変えてしまおうと思えば、
そういった覚醒剤などの薬物中毒にしてしまえばいいわけです。
確実に「人間」が変わってしまうはずです。
ただし必ず悪い方向に。
薬物依存は基本的に一生持続するそうですから、
一生涯、その荒廃した人格のままという可能性も高い。
脳内の神経伝達物質の受容体などを変化させるだけでなく、
その人物の「社会性」をも改変(悪い方向へ)してしまうんでしょうね。
そこまでやれば、「人間」が変わってしまって、元に戻らなくて当たり前でしょう。
薬物依存から学ぶ点は少ないと思えますが、
「人間の脆さ」がはっきりと分かるという点については
とても参考になりました。
一生を自分の依存症との戦いに費やすことになるので、
とんでもなく無意味な「格闘」となってしまいますね。
清原選手レベルの使用頻度では、年間一千万円単位を薬物に使ってそうだし、
そんな大金を払ってまで、一生モノの「苦役」を背負うという
不条理によく耐えられるものだと、驚いてしまいます。
より実際的な意見として、本人が薬物依存だった人の意見がこれ。
>薬物と闘え、と人は言うが、闘っても勝ち目はない。頑張っちゃダメ。やめるには仲間が必要」と断言。ダルクでは1日3回のミーティングが日課。数人でテーブルを囲み、自分の現状だけを話す。未来のことは話さない。「今日一日だけやめてみよう」をひたすら継続する。
>今、清原も大変だと思うよ」と容疑者の今後を案じる近藤代表は、求められればサポートを惜しまない考えもある。実際に施設に入って回復する患者は全体の「3割ぐらい」だが、「それでも、ないよりはいい。1人でも救われれば」と話した。
あちゃ~、たった3割程度だって。(実はもっと少ないのでは?)
清原容疑者 「中年の薬物依存は脱出が困難」と識者│NEWSポストセブン
>海外では有名人が薬物依存を認めてリハビリ施設入りし、社会復帰する例が少なくない。『アイアンマン』の俳優ロバート・ダウニー・Jrや歌手のブリトニー・スピアーズ、スーパーモデルのケイト・モスなど、薬物依存からの復帰プログラムを専用施設で受けそれぞれの活動に復帰している。日本でも、同様の専用プログラムについてはもっと活用されるべきだろう。
日本よりも海外(主として米国)のほうが、回復プログラムは
やはりずっと先進的なのかな。
ところで、最後に要らざる蛇足ですが
ロバート・ダウニー・Jr については、映画『ヒューゴ・プール』での
ドラッグ中毒の映画監督の役の熱演を、個人的には最も評価してます。
あれはもしかして「熱演」ではなく、当時の「普通の状態」だったのかもしれませんけどね。