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時計のウンチクが満載/『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー - 古本屋の覚え書き
面白いとは思ったが、個人的な感想。
偏執的な狂気の犯行に思わせて、実は金銭で請け負った殺し屋だった。
というのは「コフィン・ダンサー」に似ているかな。
動機や判断レベルで、レベルをひとつ上げることで、犯行計画の自由度が増す。
本当の変質者を利用するというのも、「コフィンダンサー」に似ている。
米国の極右団体に属する分子が、雇った殺し屋だったそうだが、
その報酬たる金はどこから出てるのか?
そういった極端な政治団体に寄付する者も少なくないのかもしれないが
どちらかというと、それでの背景説明は唐突過ぎた感がある。
しかしそれが判明する前後での狂信者の心情の描写には、それなりに感銘を受けたね。
それが正しいとは思わないのだが、そういう思考経路なのかと伺うことができて。引用しておきたいくらいである。
危機感を盛り上げて、少なくとも二度外す。
それだと拍子抜けになりそうだから、それを利用して
本当に「真犯人」は無害だったというようにミスリードする。
そして更にひっくり返す。
あざといが、やはり巧みだろうね。
物語の構成としては、やはり善悪が最後には分かれて、秩序を取り戻す。
エンタメの王道通り。
つまんないと言いたくなるが、そこらは仕方ないだろう。
結局人はそれを望むので。
これ結局、高度な犯罪者ウォッチメイカーを取り逃がして終わるんだよね。
一度で片付けるのは惜しいので、また悪役として使えるとして、そうしたのかな?
1~5時に来ると言われてたルーズなスケジュールのボイラーマンは刺客だと思ったのだが、
そうではなかったようだ。
おっと、そうではないと書かれてはいないので、そこからの対決という展開で書き始めることもできるのか。
最後まであざといというか商売ネタ大事にしてるようだね。