はりこ~

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巧い理論

上手だね。

わざとゆっくり走る鉄道が、なぜ儲かるのか:PRESIDENT Online - プレジデント

劇作家で評論家の山崎正和氏はかつて次のように述べている。

「人間にとつての(中略)不幸は、欲望が無限にあることではなく、それがあまりにも簡単に満足されてしまふことである。食物をむさぼる人にとって、何よりの悲しみは胃袋の容量に限度があり、食物の美味にもかかはらず、一定の分量を超えては喰べられない、といふ事実であらう。(中略)(そこで)食欲についていへば、(人間は)最大限の食物を最短時間に消耗しようとするのではなく、(中略)より多くを楽しむために、少量の食物を最大の時間をかけて消耗しようとする」(『柔らかい個人主義の誕生』中央公論社、84年)

食事の贅沢は「奇妙な吝嗇」から生まれる、と山崎氏はいう。一片の牛肉を味わうのに、調理に手間をかけ、食器を整え、食卓を飾り、作法と会話に気を配りながら、おもむろに口に運ぶ。ゆっくり走る列車も同様に、より多くを楽しむために、より多くの時間をかけようとする贅沢な消費のあり方だといえる。

 

わざとゆっくり走る鉄道が、なぜ儲かるのか:PRESIDENT Online - プレジデント

挙げたJR各社による「ゆっくり走る観光列車」でも、単体では赤字となる場合が少なくないようだ。

ではなぜ、かくも多くのスローモビリティを楽しむ列車が、全国各地で運行されたり、新たに計画されたりしているのか。種明かしはこうだ。これらの観光列車に乗る人の多くは、全国各地から新幹線に乗ってやってくる。その新幹線の稼働率向上も加味すれば、先の赤字がカバーされるケースが増えてくるのである。

スローモビリティが拡がる背景には、地域への貢献を目指す鉄道会社の姿勢、さらには列車が走る地元の熱意もある。しかし、それだけでは、脇の甘いビジネスになりかねない。

一見したところ、真逆の論理のように見える、“スピードの経済”と“スローダウンの経済”。だが、両者を組み合わせることで、脇の甘さが懐の深さにつながることは興味深い